【追悼式あいさつ】新里米吉沖縄県議会議長「戦争の教訓を風化させない」


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 全ての犠牲者のみ霊に謹んで哀悼の誠をささげるとともに、ご遺族の皆さまに心から哀惜の意を表する。摩文仁の丘で風を感じ過ぎし75年前に思いをはせると、戦場に倒れた多くの人々の嘆き悲しみが時空を超えて私の胸へと運ばれてくる。

 沖縄には今もなお広大な米軍基地が存在し、度重なる事件・事故により県民は苦しみ続けており、改めて沖縄の過重な基地負担が軽減されることを強く望む。

 現在、戦後に生まれた世代が多数となり、一般住民を巻き込み地上戦の場となった沖縄、被爆を体験した広島や長崎などの戦争の記憶が私たちの社会から忘却されることが懸念される。

 そのような中、県内での教育現場や地域社会で、平和活動が少しずつ広がりを見せている。「語り継ぐ」平和の種が沖縄の地で、新たな取り組みとして芽生え始めている。憲法9条の「平和主義」の理念の下、戦争の教訓を風化させないためにも、次世代に継承することが私たちに与えられた責務だ。

 式典に当たり、恒久平和を過去から託され未来へつなぐ使者として、二度と戦争の惨禍を繰り返さないことを20万人余の、み霊の前で固くお誓い申し上げる。