沖縄観光に回復の兆し 県民向けキャンペーン早くも配分終了 感染防止策が肝要


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県境をまたぐ移動の自粛解除以降、にぎわいが戻りつつある那覇空港=19日、那覇空港

 県が24日に発表した5月の入域観光客数は前年同月比94・7%減の4万4千人となり、日本復帰以降、最も大きい減少幅となった。県は6月以降、新型コロナウイルスの第2波が来なければ回復に転じると見通している。19日に県境をまたぐ移動が緩和されて以降、県内の観光地などでは人出が増えつつあり、観光回復の兆しも見える。

 厚生労働省にビッグデータを提供するAgoop(アグープ、東京都)のデータからは、徐々に行楽地に人出が戻って来ていることが見て取れる。豊見城市の沖縄アウトレットモールあしびなーに滞在する人は、2月は1日平均1026人で、外出自粛が広まった4月は半分以下の420人だった。

 6月19日から23日までは平均1141人と2月を上回っている。国際通りの人出も増加傾向だ。1日平均は2月の1万182人から5月は半分以下の4328人まで落ち込んだが、6月19日から23日までは5811人となっている。

 ■高まる旅行ニーズ

 外出自粛が続いた反動から旅行ニーズは高まっている。県内旅行促進を図る「おきなわ彩発見キャンペーン」は24日までに5億円の予算を全て旅行社に配分し終えた。県や観光事業者の予想を上回る反応の良さで、キャンペーンに参加した52社の半数以上がすでに配分された予算を使い切った。

 観光関係者は、国内の観光地の中でも沖縄は早期に回復するという見方が強い。海外旅行に行けない旅行者が、北海道や沖縄などの国内リゾート地を選ぶ可能性が高いという。

 オンライン旅行社のエクスペディアホールディングスによると、外出自粛が続いた4、5月の期間中の検索数で、沖縄本島は2位、宮古島は11位、石垣島は13位と上位に入った。

 ■都市圏より地方

 同社のアンケートによると、旅行の際に「人との距離が気になる」と答えた日本人は5人に4人と高い割合だった。実際に19日に移動が全面的に再開されて以降、沖縄旅行の予約が急増するなど、東京や大阪など人が集まる都市圏から地方に旅行需要がシフトしている。今後、国内客を持続的に回復させていくためには、感染防止対策の徹底と情報発信が必要不可欠となる。

 同社沖縄&ミクロネシア地区支店長の山﨑美穂氏は「都会を離れて自然がある場所に行きたいというニーズがある。感染防止対策で旅行者を安心させることが大事だ」と強調した。

(中村優希)