新里沖縄県議会議長が政界引退 党派超えて調整、まとめ役果たす


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「政治家は私利私欲を捨て大局に立たなければならない」と語る新里米吉氏=24日、那覇市泉崎の琉球新報社

 新里米吉沖縄県議会議長が24日、県議の任期満了を迎え20年に及ぶ政治家人生を終えた。県内政界の調整役として故翁長雄志前知事や玉城デニー知事誕生の立役者となったほか、2019年2月の辺野古埋め立ての是非を問う県民投票では全県実施が危ぶまれる中、選択肢を3択に増やす議長案を打ち上げ、全県実施を実現させた。基地問題で保革の対立が先鋭化しがちな県内政界で、党派を超えてまとめてきた原動力は「私利私欲を捨て、大局を見極め判断することだ」と強調した。

 新里氏は、政府が地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の計画を停止したことを挙げ「沖縄の民意は無視するが、本土の民意だけを尊重する政府の対応を許してはいけない」と批判。政府の二重基準をやめさせる政治家を増やさないといけないと訴えた。

 新里氏は24日、退任あいさつで那覇市泉崎の琉球新報社を訪れ、これまでの政治家人生を振り返った。

 14年の知事選で翁長氏を擁立した経緯を振り返り「当初は『敵の大将を担ぐのか』などと革新系の団体から反対の声があったが、選挙に勝つには『保守の一部を取り込まなければ勝てない』と呼び掛け何カ月もかけて説得した」と語った。

 保革をまとめた鍵は、時間をかけて民主的に説得することだったという。基本政策以外は候補者の意思を尊重することで同意を得たことも重要だったと述べた。

 19年の県民投票については「3択にしたことで成功した。政府も辺野古反対の民意を認めざるを得なくなった」と指摘した。県民投票を巡っては当初、宜野湾市など5市が投票事務を拒否する意向を示していたが、県議会で3択案が可決されたことで全県実施が実現した。