団体初優勝に照準 兄姉に刺激、「後輩に背中見せる」 バドミントン女子 金城涼乃(沖水3年)未来つむぐ夏(3)


この記事を書いた人 Avatar photo 上里 あやめ
県総体での頂点を目指し、練習に熱が入る沖縄水産の金城涼乃主将=20日、糸満市西崎の同校(大城直也撮影)

 バドミントン女子沖縄水産の金城涼乃主将は並々ならぬ思いで県総体に臨む。目標としていた初の全国総体、国体出場の望みはなくなった。だが「後輩につなぐ」との思いで同校女子初となる団体優勝に挑む。

 女子部員14人を指導するのは、同校出身の浦添正太監督だ。2013年から女子を率い、今年は「選手層も厚く、人数もこれまでにないくらい多い」と団体の初優勝に期待も大きい。中でもエースの金城は「頭一つ抜けている」と監督の折り紙付きだ。

 その強さは「県外で積んだ経験にある」と浦添監督は説明する。全九州高校体育大会やJOCジュニア大会に出場し、県外のレベルを実感した。金城は「県外は一本一本しっかりつなげてくる。(他県勢は)簡単なミスもなく、ラリーを切らすことがない」と触発され、県外大会や合宿を通じて、粘り強いラリーや速いフットワークを練習から心掛けてきた。

 10歳上の兄・智大、6歳上の姉・悠姫も沖縄水産で主将を務め、全国総体でも活躍した。小学生だった10年に智大が出場した美ら島総体は、金城が全国を目指すきっかけとなった。「県大会とは違う人の多さと熱気」を幼心に感じ、人混みをかき分け兄のプレーを目で追った。

 トップレベルの兄姉を持ち、金城も自然と「全国総体に出たい」と夢見てきた。全国総体の中止は「小さい頃からの夢だったインハイがなくなり、悔しかった」。やるせない気持ちに襲われたが、県総体の開催決定に気持ちを奮い立たせる。

県高校総体で団体初優勝を狙う沖縄水産女子バドミントン部のメンバーら

 「後輩にたすきをつなぐ気持ちで、頑張っている背中を見せたい」

 昨年10月の県高校新人体育大会と今年2月の県高校新人選手権ではダブルスで優勝を飾ってきただけに「負けられない」と意気込みは十分だ。県総体は団体戦のみの開催となるが、チームを率いるエース、主将として最後は「1ゲームも落とさず、団体戦優勝で終わりたい」と力強い。

 昨年からペアを組む2年の新垣瑠香は金城について「いざという時に頼れる先輩」と慕う。全員で全国総体に行くという夢は失ったが「県総体は絶対に優勝して、先輩を笑顔で送り出したい」。最後の夏を迎える金城に、“優勝”というプレゼントを贈りたい、と後輩たちも表彰台の頂点を見据えラケットを振り続けている。
 (上江洲真梨子)