伸ばした髪で励まし合い 心疾患の伊藝さんが3年ぶりカット 病と闘う子に贈る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【読谷】生まれつき「総肺静脈環流異常症」という心疾患を抱える金武町伊芸の伊藝夏蓮(かれん)さん(7)=嘉芸小2年=がこのほど、医療用かつらに役立てもらおうと自慢のロングヘアをカットした。10日、母親の友紀さん(29)と読谷村の「ヘアルーム・ボタニカ」を訪れ、スタイリストの川名貴士さんに思いの詰まった37センチの髪の毛を託した。

川名貴士さん(右)にカットした髪の毛を託す伊藝夏蓮さん(中央)と友紀さん=10日、読谷村瀬名波のヘアルーム・ボタニカ

 夏蓮さんは、友人ががん患者へへアドネーションしたことを知り、自身も3年間伸ばした髪を提供することを決めた。「何回も切りたいと思ったけど一生懸命頑張った。私の髪の毛も役に立つといいな」とはにかんだ。

 友紀さんによると、夏蓮さんは生後2週間で心臓手術を受けた。その際に入院した病院には、重い病気と闘う子どももたくさんいたという。美容師免許も持つ友紀さんは「特に女の子は髪型で印象が変わる。何かできないかと考えていた時に娘が『頑張る』と言ったことがうれしかった」と述べた。

 ボタニカは県内でもいち早く、子ども用の医療用ウィッグを無償提供するNPO法人Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック、大阪市)の活動に賛同し、2013年以来700人以上の髪を届けてきた。同店ではジャーダックからウィッグの提供を受ける人の頭のサイズ測定や完成後の手入れもし、これまで3人に完成品を手渡した。川名さんは「ウィッグを受け取った時の3人の笑顔が忘れられない。既製品ではなく自分に合ったものを身に付けることで自信にもつながるはずだ」と述べ、ヘアドネーションへの理解と協力が広まることを期待した。

(当銘千絵)