感染なし「天国に一番近い島」平和な日常と観光打撃 通信員ルポ【ニューカレドニア】


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多くの人でにぎわうアボカド祭り=ニューカレドニア

 ニューカレドニアの首都ヌメアの離島発着埠頭(ふとう)で5月22日から23日にかけて、マレー島のアボカド祭りが開かれた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、5月4日にニューカレドニア全土に出された外出禁止令が解除されて最初の祭りだ。例年5月の初めにマレー島で行われる人気の祭りだが、今年は新型コロナの影響を受けてヌメアで開催した。

 政府発表によると6月10日現在、人口27万人のニューカレドニアで感染者は21人、回復者は20人、死者はゼロ、検査数は7477人となっている。感染者は全員が海外からの入国者で、瀬戸際で食い止められており、市中感染者は存在しないとされている。

 南部州では4月20日から外出禁止令が解除され、学校も段階的に始まった。1週目に生徒の半分が距離を取りつつ出席し、2週目に残りの半分が授業に参加し、3週目に平常に戻った。1週目の様子はテレビで放映され、十分な生徒同士の距離や、消毒液とせっけんの完備などが強調された。3週目の学校の教室は生徒であふれていた。学校は平時に戻り、試験も予定通り実施される。

 7月31日まで続く国内封鎖と厳しい瀬戸際対策のおかげで、ニューカレドニアの日常生活は一見すると平和そのものだ。一方で、新型コロナの影響で経済が打撃を受けている。失業者には各州とフランス本国から助成金が毎月出ているが、いつまで続くのか予測ができない。各企業は勤務日数を減らしたり、一時失業扱いにしたりして、対策を進める。離島へ飛ぶ国内線の再開に、島の首長側が同意しないなど、簡単には新型コロナの流行前と同じ状況に戻れそうもない。

 外出禁止令の間、テークアウトや宅配弁当などは活況を呈し、利用者の要望に応えられないほどだった。この業種に参入する人も増えた。ニューカレドニアに住む日本人の大部分は観光分野で働く。ほとんどが失業状態で事業再開の見通しがたたない中で、できる限りの可能性を模索している。日本食弁当を作って売ることを考えている人も見受けられる。
 (山田由美子ニューカレドニア通信員)