「通院交通費の不支給は違法」 生活保護の男性、沖縄市を提訴


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那覇地裁(資料写真)

 生活保護を受給する沖縄市の男性が、通院のための移送費(交通費)の支給申請に市が対処しないのは違法だとして、市に対して移送費の支給決定と損害賠償を求める訴えを29日までに那覇地裁に起こした。提訴は2月27日付。

 訴状などによると、男性は1998年ごろから生活保護を受給。精神疾患を患っており、通院のためにバスやタクシーを利用していた。生活保護法では、通院のための移送費の支給が認められているが、男性はその制度を市の担当ケースワーカーから知らされていなかった。2015年ごろ、制度を知った男性は市に移送費の支給を求めたが、担当ケースワーカーから「制度はない」「交通費は保護費から出してください」などと言われた。

 男性は2月、市に改めて移送費の支給を求めたが、市は対応しなかった。このため、憲法で認められる「健康で文化的な生活水準を維持できなくなっている」とし、男性の生活状況が「違憲かつ違法な状態」だとして訴訟に踏み切ったという。

 男性代理人の大井琢弁護士は「制度の存在を男性に知らせず、支給を認めない市側の対応は違法性が高い」と指摘。市は「訴訟中のためコメントできない」としている。