【記者解説】男女平等・多様性尊重条例、なぜ否決? 反対理由「懸念」の中身が曖昧


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
宜野湾市役所(資料写真)

 宜野湾市が市議会に提案した「市男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案は、名称や内容に疑義が出たため反対多数で否決された。

 反対した議員からは「多様性」などの表現が入ったことで「性的少数者」のための条例になるなど、さまざまな指摘があった。

 一方で具体的な懸念の中身が説明されることはなく、条例案の何が根本的に問題だったのか、曖昧なままで否決という結論に至った。

 市当局や条例の諮問機関の有識者は、性的少数者や社会的弱者への理解が広がる昨今の時代潮流に合わせ「多様性を尊重」などの文言を条例案に盛り込んだ。

 しかし主要与党会派からは名称などに異論が噴出した。会派からの修正案提出も検討されたが、意見がまとまらず、条例案の明確な方向性を示せなかった。

 主要与党会派の議員は条例案について「全否定していない」と語り、一定の理解を示していることを強調する。ただ条例案を否決した結果は重い。否決の理由や背景など、市民に対して分かりやすい説明が必要となる。

 市当局は市民を代表する議会の結果を受け止め、より丁寧な条例案策定の手続きが今後、求められる。

(金良孝矢)