総決算の“冬”へ弾み 逆境で闘志に再点火 バスケ男子 名城伶真(興南) 未来つむぐ夏(6)


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練習から熱のこもったプレーでチームを引っ張る興南の名城伶真主将(右)=14日、宜野座村総合体育館

 興南男子バスケットボール部3年の名城伶真主将(18)は県総体を集大成の“冬”に向け弾みを付ける場にしたいと考えている。1、2年時は県大会で常に2位。それが、自分たちの代になってからは県内負け知らず。ただ全国は未経験で、初ウインターカップ(全国高校選手権)に懸ける思いは強い。「県総体は他校を寄せ付けないくらいの圧勝で優勝し、ウインターカップで全国制覇を目指したい」。全国総体の中止を冬へのモチベーションに変え、闘志を再点火している。

 14日午前、宜野座村総合体育館。「ダッシュダッシュ!」「ハンズアップ!」。外は梅雨明け直後の晴天で、気温は約30度。蒸すような体育館内の暑さに、動きが鈍くなる仲間を名城が鼓舞する。「チームがキツい時に1番声を出し、プレーでも体が張れる」とリーダーシップに対する井上公男監督の評価は高く、2年時から主将を任される。

 興南OBである四つ上の兄・正真の影響で、小学1年でバスケを始めた。進んだ港川中は強豪だったが、最高成績は中学3年時の県大会2位。「全国にいきたい」と名門興南に進学した。しかし1、2年時の全国総体、ウインターカップはいずれも県予選で豊見城に敗れ、またも2位続き。手が届きそうで届かない場所。それが名城にとっての「全国」だった。

 自身の代になると190センチ前後の選手が複数いる大型チームながら、伝統の「走るバスケ」に磨きをかけ、昨年11月の県新人大会、今年1月の小橋川杯と続けて優勝。「自分たちの代で必ず全国に行ってやる」。大願成就の瞬間は目前だと気負い立っていた。

 しかし全国総体は中止に。「予想していたけど、全国を目標にやっていたから1日だけは落ち込んだ」。自身を支えたのは沖縄のトップという強い自負。「沖縄1位のチームがこんな所で落ち込んでいてどうする。ウインターカップに向けて切り替えよう」。部活が再開して集まった仲間たちに「みんなで頑張ろうな」と声を掛け、前を向いた。

 チームの平均身長は県内では高い方だが、2メートル超えも擁する全国の強豪に比べると小さい。「大きな選手もよく走り、スピードのある相手もガードする。興南のスタイルであるスピードのあるバスケを磨いていきたい」。まずは夏。再び県の頂点を証明するため、チームを先頭で引っ張り続ける。

(長嶺真輝)