中谷氏の辺野古見直し「軍民共用」に微修正 「辺野古移設が唯一」強調


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中谷元・元防衛相

 【東京】陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画断念を受け、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に自民党内からも「見直し」論が出ているが、その内実は県内移設にとどまる。BSのテレビ番組で辺野古計画のコストや工期の長さを指摘した中谷元・元防衛相も、現行の埋め立て計画は進めた上で「軍民共用」など微修正して地元理解を醸成したい考えだ。かつては九州への分散移転可能性にも言及した中谷氏だが、沖縄側が「合意」してきた過去を理由にして「辺野古が唯一」と繰り返している。

 中谷氏は防衛大臣就任前の2014年、大学生のインタビューで「分散の可能性」に言及した。県外だと反対で移設は困難との見解を示していた。だが取材には「公式発言ではなく、そういう部分もあるという意味だ」と発言自体は否定せず「実際に米軍基地をどこかの都道府県にもっていって話し合いをすると、かなりの時間がかかる。だから辺野古が唯一の現実的な手段であるというのが私の思いだ」と強調した。

 しかし辺野古移設自体が既に20年以上経過しており、時間がかかっている。

 移設が長期間に及んでいることについては「いまだできていないことは、政府の一員だった者として沖縄県の皆さんに非常に申し訳ない」と陳謝した。その上で辺野古移設計画は「最終的には島袋(吉和名護)元市長が受け入れを決断してくれた。島袋さんの決定とか、地元の受け入れてくれた方々の温かい思いは絶対忘れていない。そういう人たちのためにも移設は早く実現しなきゃいけない」と述べ、移設を容認した人々への配慮をにじませた。

 軟弱地盤で工事自体の完遂が望めないのではとの問いには「専門家が集まってできるとの結論を出した。それは信じていい。関空や羽田、北九州など海に滑走路を造った。できないわけはない」と答えた。

 辺野古移設計画の白紙見直しについては「沖縄の地理的なポジションとしては、戦略的な意味でも、突発的なことにすぐ対応できることを考えても、沖縄に海兵隊がいるということは間違いのないことだ」と述べ、米海兵隊の沖縄駐留の意義を繰り返すにとどめた。