石炭火力の3発電所の休廃止検討 県内供給6割が石炭 脱温暖化へ対応多難


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 【東京】政府が非効率な石炭火力発電所の段階的休廃止に向けた具体策を検討していることを巡り、県内では沖縄電力の具志川火力発電所、金武火力発電所にある計4基と、うるま市石川にある電源開発の2基の全石炭火力発電所が削減の対象となることが3日、分かった。沖縄では石炭による発電量が電力供給の約6割を占めており、「脱炭素社会」に向けて他地域以上の対応が求められることになる。 

 一方、3日の会見で石炭火力の縮小方針を正式に表明した梶山弘志経産相は、原子力発電所がなく、送電網が他県とつながっていない沖縄の特徴を踏まえて「地域性を考えながら、どういう経過措置が必要か考えたい」と述べ、地域事情を踏まえた措置を検討する考えも示した。

 琉球新報の取材に沖縄電力は「火力発電に頼らざるを得ない沖縄では、石炭はベースロード電源として不可欠な役割を担う重要な電源と考えている」と地域事業に理解を求めた。その上で「今後、経過措置などの施策についての議論を注視していく」と述べた。

 沖縄電力の決算説明資料によると、2019年度の石炭による発電電力量は32億800万キロワット時で、電源開発から購入している電力量16億1千万キロワット時と合わせ、沖電の発受電力量全体の63.3%を占める。原発や大規模な水力発電所がないことから、化石燃料の比率が高い電源構成となっている。

 二酸化炭素の排出が多い非効率な石炭火力発電の削減について、経産省は「全ての地域が検討対象だ」として沖縄も対象とする考えを示している。ただ、個別の発電所に対して休止や廃止を求めるのではなく、非効率設備の発電量の上限を電力会社ごとに設け、徐々に引き下げる手法などが想定されるとみられる。

 段階的な休廃止を促す新たな規制措置や誘導策は、今月中に立ち上げる有識者会議で検討を始める。電力の安定供給を図る観点から、予備として設備自体は残す例もあるとみられる。

沖縄電力の具志川火力発電所(資料写真、提供)