首里城火災、イベント業者が3500万円被害 原因不明で保険も使えず


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
火災現場となった首里城=2019年10月31日、那覇市首里

 昨年10月末の首里城火災で、舞台技術者らが設営した仮設舞台や音響などの機材が焼失し、被害額が約3500万円に上ることが分かった。一方で、損失を穴埋めする当てはなく、県や国にも補償の検討を訴えていく。

 首里城では昨年11月2、3日に「組踊上演300周年記念事業実行委員会」主催の芸能公演や式典が予定されていた。15社が舞台設営に関わったが、設営を完成させた数時間後に、首里城が火災に遭い、仮設舞台や機材など全てが焼失した。

 15社のうち7社が被害に遭い、音響機器担当の業者とイベント設営の備品担当業者がそれぞれ約1千万円、照明機器担当の業者が約800万円の損失を被るなど、合計額は約3500万円に上った。焼失機材の撤去費用も舞台技術業者が負担した。

 公演は同委員会が広告代理店に委託した。広告代理店は舞台設営などを首里城での公演実績がある別の舞台技術業者に依頼し、舞台技術業者は音響や照明などを同業の14社に協力してもらった。機材焼失後、業者は広告代理店に補償を求めたが、受け入れられなかった。

 舞台技術業者は、業者自身が加盟する保険を同業者に適用できないか保険会社に問い合わせたが、火災の原因が不明のため適用外とされた。現在も交渉を続けているが「望みは薄い」という。舞台技術業者の責任者は「どこかを非難するつもりはない。ただ、損失が大きく非常に厳しい。機材費などの補償を県や国に検討してほしい」と訴えた。