追いつかぬ牛乳生産 牛「夏バテ」で最低水準 夏休み短縮で需要は増加


社会
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 沖縄県産牛乳の生産が減少し、乳業メーカーや学校給食への供給が不足する事態になっている。県酪農農業協同組合によると、7月に入り1日あたりの牛乳生産量は約50トン程度にとどまり、過去最低の水準になっている。平年より早い梅雨明けなど気温が高くなる日が多く、牛の「夏バテ」で生産量が落ち込んでいるという。さらに今年は夏休みが短く、例年最も生産量が落ち込む8月に学校給食があることから、牛乳の供給不足に拍車を掛ける恐れがある。

夏場は県産牛乳が不足するため、店舗では北海道など県外産牛乳の入荷で品薄を補う=6日、サンエー浦添西海岸パルコシティの食品館

 暑さに弱い乳牛は夏場になると食欲が落ち込み、牛乳の生産量が減少する。県産牛乳の日量50トンは、昨年に比べて3~4トン少ない。このため県内量販店や学校給食では、県外産の牛乳製品や、生乳を脱脂粉乳などで成分調整した「加工乳」に切り替える動きがある。

 夏場の品薄時期が続くという。イオン琉球の担当者は「加工乳は問題ないが、牛乳の物量は減っている」と説明する。特売を控えたり、県外産牛乳を仕入れたりするなどして、欠品にならないようにしている。

 学校給食でも、乳業メーカーから牛乳不足の連絡を受け、7月の数日は牛乳の代わりに加工乳などを提供する学校もある。一部メーカーは県外産の牛乳で補うことも検討している。

 例年も夏場は牛乳が減少して供給が不足するが、7月下旬から小中学校の夏休みと重なるため、需給バランスがある程度保たれていた。しかし今年は新型コロナ対策の臨時休校の影響で、多くの学校で夏休みが8月1~10日に短縮されるため、給食用の供給を確保しなければならない。牛乳が不足する夏場に学校給食があることで乳業メーカーやスーパーからは生産が追い付くか懸念の声もある。

 サンエーの店頭でも県産牛乳を補う形で県外産の牛乳がずらりと並ぶ。担当者は「もともと不足する時期で、例年と同じ状況だ」と語る一方で、例年なら小中学校が夏休みに入る時期を迎え「読めない部分があるので、注視する必要がある」と話した。

(石井恵理菜)