
沖縄県民にとって身近な魔よけの石敢當を題材に、豊かな空想が膨らむ物語を描いた。第32回琉球新報児童文学賞・短編児童小説部門の受賞作「石敢當と僕」を執筆した南野片吟(みなみのぺんぎん)さん(24)は、同賞へ初めての挑戦で正賞受賞を果たした。
今回の応募へ向け、過去の受賞作も踏まえて沖縄で身近にある物を題材にしようと考えていた南野さん。構想を練る中で、小中学校時代の登下校時にいつも見ていた自宅近くの石敢當が思い浮かんだという。
創作する際、登場人物の名前や性格、筋立てなどをメモしているノートがある。当初に思いついた筋立ては主な登場人物が3人。しかし、原稿用紙20枚の限られた枠内に収めるため、本筋も含めて全面的な練り直しを重ね、主な登場人物を2人に絞り込んだ。最終的に3回ほど書き直し、完成させた。
「子どもたちは常日頃から冒険したい気持ちがあると思う」と感じている。「子どもたちが元気に駆け回るようなスケールの大きい作品にしたかった」と明かし、子どもの冒険心をそそる作品に磨き上げた。
受賞の一報を受けて「うれしかった」と喜び、家族や作品を読んでもらうなど協力してもらった先輩や友人にも伝えた。今後へ向けて「次は純文学を書きたいと思っていたが、今回の受賞で、また児童文学も書いてみたいとも思う」と話し、既に次の創作へ考えを巡らせている。