高齢者交流、油断はできぬが…コロナ禍4カ月ぶり再開「元気が出た」 那覇「憩いの家」など


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マスクをして踊る琉球舞踊教室の生徒ら=1日、那覇市の同市壺川老人福祉センター

 新型コロナウイルスは高齢者が感染した際に重症化するリスクが高いとされ、高齢者の交流の場も対策に苦慮している。那覇市は、感染防止のため閉鎖していた市内7カ所の老人福祉センターや老人憩いの家を7月から4カ月半ぶりに再開させた。施設側や利用者らはマスク着用などの感染対策をしつつ、熱中症予防にも気を配る。那覇地区老人クラブ連合会は行事を当面控え、1人暮らしの会員らの安否を電話で確認している。

 老人福祉センター・憩いの家は、高齢者が健康増進や教養の向上、レクリエーションなどに活用できる施設だ。2月14日に県内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されたことを受け、市は同17日から施設を閉鎖した。5月14日の緊急事態宣言解除を受け、感染防止ガイドラインの作成を経て7月1日に再開した。

 7カ所の老人福祉センター・憩いの家の中でも規模の大きい壺川老人福祉センターは約800人が利用する。

 再開に当たって(1)体温が37度以上の人は利用を控える(2)マスク着用(3)手指消毒と手洗い(4)互いに手を伸ばしても届かない程度の距離を空ける(5)館内での食事禁止―などのルールを設けた。利用者はチェックシートに(1)家族に体調の悪い人はいないか(2)家族や近親者に県外・海外に移動した人はいないか―といった情報を記入してセンターに提出する。万一、感染者が発生したらシートを調査に活用する。

 同センターの琉球舞踊教室には多い時で100人弱が参加していたが、再開に当たり30人以下に制限した。1日は自主的に休んだ人もおり、10人余にとどまった。苦しい場合はマスクを外してもいいが、1日はほぼ全員がマスクをしていた。熱中症予防のため、3演目ごとに休憩をとり水分補給をした。生徒の新垣悦子さん(75)は「4カ月ぶりにみんなの顔を見られて元気が出た。マスクは少し苦しいけど(感染防止に)協力したい」と笑顔。指導する安次嶺正美さん(39)は「参加者が増えたらもっと温度や密度が高くなるので油断できない」と気を引き締める。

 那覇地区老人クラブ連合会は約1700人の会員が所属する。感染拡大防止のため、7月の芸能発表会、8月のボウリング大会など大規模な行事の中止を決めた。上原清会長は「断腸の思いだが会員の安心安全を最大限に考慮した」と話す。今後は感染状況の推移を見ながら開催を判断するという。再開を待ちわびる声も多く、9月末には全体ではなく支部ごとの行事を検討している。

 行事の自粛中は電話での安否確認のほか、料理のレシピを提供するなど会員の健康管理に気を配る。上原会長は「互いに協力し合ってコロナ禍を乗り越えたい」と話した。
 (伊佐尚記)