【熱闘・高校野球】「頑張ったね」天国から聞こえる スタンドに母の遺影(7月4日1回戦) 


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試合後、母・多恵さんの遺影を手にする宮古工の砂川理寿(右)と父・祐也さん=4日、沖縄市のコザしんきんスタジアム

 全国高校野球選手権沖縄大会に代わる独自の「2020県高校野球夏季大会」(県高野連主催)。球場で躍動し、伸び伸びとプレーする選手たちの表情を切り取る。

 宮古工・宮古総実1―7中部農林

 宮古工3年の砂川理寿主将の母・多恵さんは今年2月1日、がんで他界した。享年43。野球を始めた幼稚園の頃から練習の送り迎えや弁当づくりをしてくれた。「最後の大会はみんなを引っ張ろうと思って声を出せたし、楽しめた。(母も)『頑張ったね』と言ってくれていると思う」。試合後、声を詰まらせながら気丈に語った。

 スタンドでは、父・祐也さん(44)がこれまでそろって試合に足を運んできたように遺影と共に息子の雄姿を見守った。「自分が厳しいから、母親がいい逃げ道になっていたと思う」と役割分担しながら子育てをしてきた。「最後の大会を一緒に見られて良かった」。遺影の写真も笑っていた。

 電気情報科で学ぶ砂川。卒業後は県外就職を目指す。「野球を通して諦めない姿勢を学んだ。仕事にも生かしたい」。父も認める母親譲りの我慢強さで、将来を切り開く。

高校野球アルバム2020夏季大会