なぜ米軍のコロナ感染者が増えているの? 異動時期の7、8月 感染者が突出する米から沖縄へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍キャンプ・ハンセンのゲートに新型コロナウイルスの検査を行っている事を示す横断幕を設置する米兵ら=9日午後0時20分ごろ、金武町

 世界中で新型コロナウイルスがまん延する中、米海兵隊はローテーション配備で各国の基地を移動している。米国の感染者数は突出しており、オーストラリアでは米豪両政府の協議で配備を延期するなど、受け入れ国の要望で配備計画を変更する例もある。一方、在沖米海兵隊は隊員らの2週間の隔離措置後は自由に基地内外を出入りできる。沖縄は海外や県外と比べても基地を介したウイルス流入に無防備な実態がある。

 海兵隊の実動部隊は部隊展開計画(UDP)に基づいて半年ごとに入れ替わる。7、8月は異動時期で米国内の基地などから沖縄に兵士らが移動する。海兵隊が拠点を置くカリフォルニア州では今月7日だけで1万1694人の新規感染者が確認され、ミラマー基地のある同州南部のサンディエゴでは累計1万7580人に上る。同じく拠点のあるノースカロライナ州の感染者数も7万7310人となっている。

 米大学の集計によると、米国の新型コロナ感染者数は300万人を超えた。海兵隊のローテーション配備は「ブラックボックス」として世界各地の受け入れ国に危機感を与えている。

 3月には米豪両政府が新型コロナ流行を理由に配備スケジュールを延期した。5月に当初予定の約半分の規模縮小を条件に配備を合意し、6月に配備が始まったが、入国の際には地元ノーザンテリトリー州による検疫が行われた。日本では国内法に基づく米兵の検疫は認められていない。

 日本国内でも対策に差がある。横田基地(東京)の司令官は「渋谷、新宿、六本木」を挙げ、感染拡大地域への立ち入りを禁止。部隊内に感染を持ち込まないためだとみられるが、感染拡大防止にもつながる。

 在沖米海兵隊は海外から来た人員は階級を問わず、2週間隔離しているというが、隔離後は自由だ。普天間飛行場で隔離措置後に発症し基地外に出ていた例もあり、現在の措置では不十分な可能性があるが、軍側が情報を公表しない限り、検証は困難だ。
 (島袋良太、明真南斗)