米軍キャンプ・ハンセンで複数人が新型コロナ感染 普天間飛行場でも1人  米軍、報道非公表へ


この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭
新型コロナウイルスの検査を行っていることを示す横断幕を設置する米兵ら=9日午後0時20分ごろ、金武町のキャンプ・ハンセン第1ゲート

 米軍は9日、本島北部のキャンプ・ハンセンで複数人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。米軍普天間飛行場でも新たに1人の感染が判明し、既に感染が分かっている軍属ら5人と合わせて計6人となった。軍属ら5人のうち少なくとも1人が基地の外へ買い物に出掛けていたことも明らかになった。一方、在沖米海兵隊は今後、新規感染者の情報を報道向けに発表しない方針を9日示した。県は米軍の了解を得られた場合にのみ、感染者数を公表する考えだ。

 県内では7月に入り、2日にうるま市のキャンプ・マクトリアスに駐留する海兵隊員の家族1人の感染が判明し、7日には普天間飛行場で5人の感染が確認されている。在沖米軍基地内での感染拡大の懸念がある中、米軍が新規感染者について報道陣に公表せず、県側にも非公表を求めて県が従えば、新規陽性事例の存在さえ県民に知らされない恐れもある。

 県は、4日の米国独立記念日を祝うパーティーなどをきっかけに、米軍関係者の間で感染が広まり、県民も接触している可能性があるとみている。

 沖縄防衛局によると、ハンセン内の複数人の一部は同じ部署に所属しているとみられる。感染経路は調査中だという。県によると、県民と接触している可能性もあるが、行動歴を把握できていない。普天間飛行場所属の6人は同じ部署に勤務している。

 県の糸数公保健衛生統括監はハンセンでの陽性事例だけで「クラスター(集団感染)」に当たる可能性は「低い」とみている。クラスターの定義は5人以上が同じ場所で感染することであり、ハンセンの感染者は現時点で5人を下回っている可能性がある。

 糸数統括監は「独立記念日を祝うパーティーが各地で開催されたという情報がある。米軍関係者と日本人が集まっていた様子もあり、感染規模が大きくなる心配がある」と説明した。

 海兵隊は感染情報を公表しない理由について、基地別の感染者数を秘匿するという米国防総省の方針や感染者らのプライバシー保護を挙げた。