来沖した米軍人を基地外のホテルで隔離 米軍のコロナ対策 北谷町「基地内で隔離すべき」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍基地

 【北谷】新型コロナウイルスの感染対策として、在沖米海兵隊が北谷町内のホテルを借り上げ、海外からの人事異動者などを対象にした隔離施設として使用することが9日、分かった。県から情報提供を受けた北谷町が明らかにした。収容人数や使用期間など詳細は分かっていない。野国昌春北谷町長は、米軍関係者の来沖については「然るべき期間を米軍施設内で隔離し管理すべきだ」として、8日に外務省沖縄事務所を訪れ、抗議した。

 日本政府は新型コロナの感染拡大を受け、入国拒否対象国として米国を指定している。一方で、日米地位協定で、米軍人・軍属・家族は入管法の適用が除外されている。

 北谷町によると、米軍の人事異動期間は7、8月の約2カ月間で、ホテルの借り上げについては、外務省沖縄事務所などから基地内の収容量が足りないためと説明を受けたという。

 野国町長は「人事異動期間を延ばして人数を分散するなど、異動者を基地内で隔離できる方法を考えてほしい」と強調した。町は外務省沖縄事務所のほか、在沖縄米国総領事館などに対しても9日までに抗議文を郵送した。近日中に沖縄防衛局にも抗議する。

 沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は、感染者が増え続けている米国からの異動人数や、基地内の収容量などの情報がないまま、隔離措置が決まっていることについて「必要最低限の基本的な情報も共有できないような状態がいかに異常であるか改めて認識する必要がある」と指摘した。その上で「検疫や2週間の隔離などは基地内で収めるべき話だ」と断じた。