世界遺産の聖域「斎場御嶽」が再開 入場制限、消毒・・・対策して再開 ビーチ、ガマ見学などの施設も


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営業再開初日に斎場御嶽を訪れた観光客=6月27日、南城市知念久手堅

 【南城】新型コロナウイルス感染拡大の影響で4月7日から臨時休業していた世界遺産の斎場御嶽(せいふぁーうたき)や糸数アブチラガマなど沖縄県南城市内にある5カ所の観光関連施設が、6月27日から営業を再開した。1日には南城市のあざまサンサンビーチが海開きをした。各施設では「3密」を避けるための入場制限のほか消毒液、非接触型の体温計を設置するなどコロナ対策をしながら営業を始めた。

 6月27日の朝、南城市の瑞慶覧長敏市長や南城市観光協会の宮城源幸会長らが斎場御嶽を訪れ、寄満(ゆいんち)や三庫理(さんぐーい)などで手を合わせ、安全祈願した。瑞慶覧市長は「万全な対策をしながら閉塞(へいそく)感漂う状況を少しでも打開し観光でにぎわえば」と期待を込めた。

 斎場御嶽ではオープンと同時に県内外から多くの来場者が訪れ、通常の土曜日の来場者数の半分に当たる約530人が来場し、琉球国時代の最高の聖地を堪能していた。県外から一人旅で訪れた女性(24)は「一度は行ってみたいと思っていた場所。自然が美しく、神秘的な空間に心が安らいだ」と語った。

 久高島が望める三角の岩の奥は、密を防ぐため立ち入りを制限している。妻と1歳の息子と共に訪れた福岡県の辻村卓二さん(29)は「久高島を望むことはできなかったが、大きな三角の岩に圧倒された。家族と一緒に来られて良かった」と満足げに語った。

 斎場御嶽の入場券を販売する南城市地域物産館には県外の観光客のほか地元客も多く訪れ、市の特産品を購入していた。南城市観光協会の職員で南城市地域物産館の宮里優也マネジャーは「いいスタートが切れた。ソーシャル・ディスタンスを守りながら、斎場御嶽と南城市の物産品の魅力を伝えたい」と笑顔を見せた。

 修学旅行などの平和学習の利用者が多い同市玉城の糸数アブチラガマでは秋に向けて団体客の予約が相次いでいる。コロナ対策としてヘルメットや懐中電灯を消毒、入り口付近には消毒液がずらりと並び、非接触型の体温計も設置している。また、ガイド1人につき45人案内していたのを20人に制限する。壕内で説明する場所も5カ所から3カ所に減らすことを決めた。

 糸数アブチラガマ案内センターの當山晃事務局長は「壕内は広く風通しも良いが、密を避けるためにも人数を減らすのはやむを得ない」と話した。
 (金城実倫)