沖縄県、米軍キャンプ・ハンセンの感染者数を非公表 米軍の要請「無視すると今後の情報もらえない」


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米軍キャンプ・ハンセンのゲートに新型コロナウイルスの検査を行っている事を示す横断幕を設置する米兵ら=9日、金武町

 9日に明らかになった米軍キャンプ・ハンセンの新型コロナウイルス感染者は「複数人」として、人数は非公表だった。県によると、米軍側は県に感染者の人数を伝えたが、報道陣などには「非公表でお願いしたい」と要請した。県は米軍の要請に基づき、非公表としている。

 県によると、新たに米軍普天間飛行場所属の1人とキャンプ・ハンセン所属の感染者の情報が県に寄せられたのは8日夜だった。県は、米軍側と人数等の公表について9日昼まで交渉したが、米軍側の理解が得られず、感染者数を公表しなかったという。米軍側は県側に、非公表を求めた理由を明示しなかった。

 米軍側の要請を了承した理由について、県の糸数公保健衛生統括監は9日のブリーフィングで「それを無視して発表すると、今後情報がもらえなくなるというのがある」という懸念を説明した。ただ、県側が押し切って情報を出して米側が情報を提供しなくなった事例があったのか、という記者の質問に対しては「具体例は把握していない」と答えた。

 県民に情報を公表する必要性については認識しているとした上で、引き続き米軍側に公表への理解を求めていく立場を説明した。

 また、県は、県民や事業者向けに新型コロナ流行の警戒レベルに応じた行動基準を定めているが、糸数統括監は、同基準は米軍には当てはまらない考えを示した上で、「日本ではこのぐらい規制を要請しているので、米軍に日本と同じレベルの規制をできないかという調整は必要になってくると思う」と述べた。