27年ぶり頂点狙う ハンド女子のコザ U-18日本代表の西田、実力者ルーキーと力合わせ 未来つむぐ夏(11)


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ゴール前に切り込みシュートを放つコザ高校女子ハンドボール部の西田瑞歩=6月28日、沖縄市照屋のコザ高校

 ハンドボール女子で昨年、コートプレーヤーとして県内からただ1人、U―18日本代表に選ばれたコザ高3年の西田瑞歩(17)はチーム悲願の優勝を目指し、県総体に向けて気持ちを高めている。中学で鳴らした新1年生を即戦力に加え、チームの総合力が向上。チームは3連覇を果たした1993年以来、県総体の優勝から遠ざかっており「絶対に負けたくない。後悔したくないという気持ちが強い」と27年ぶりの頂点に向けて闘志を燃やす。

 頭角を現したのは中学2年の時。美東中でエースとしてけん引し、王国をうたう浦添勢と優勝争いを繰り広げた。頂点には一歩届かなかったが、中学最後の年に沖縄選抜の主将に起用され、同世代のトップチームのまとめ役を任された。

 駅伝でも県代表に選ばれる脚力と体力を備え、1対1では負けない速さと運動量、個人技、物おじしない守りの強さなどが注目を浴び、高校1年時にU―16日本代表に選出。昨年も代表に招集され、ユースアジア選手権で3位入賞するなど国際舞台も経験した。

 コザは総体優勝からは遠ざかっているものの、たびたび4強入りしている伝統校。住まいが近く、ハンドを始めるきっかけとなった兄も在学していたため、自然と入学を決めた。

 しかし翌年、県選抜に選ばれた実力を持つ美東中の後輩らが、他校の同学年と組む環境を選び、コザには集まらなかった。昨年の県総体は準々決勝で浦添に27―16で敗れ、4強にも届かなかった。

 昨年12月の九州高校選抜県予選で4強の座は取り返したが、準決勝で那覇西に19―27で屈した。

県高校総体に向け意気込むコザ高校女子ハンドボール部員ら=6月28日、沖縄市照屋の同高校

 「もし別の高校に行ってたらどうなっていただろうと思う時もある」。全国を経験している同世代の好敵手らの姿がまぶしく見える時もある。それでも「コザにはコザの良さがある。チームワークは負けない。後悔はしていない。このチームで勝てる。勝ちたいと思っている」と笑う。

 1年から共に汗を流してきた主将の玉城郁(17)は「これまで結果を残せず、悔しい思いをさせてきた」と振り返る。攻撃に集中させたいが、守備を含めて西田に頼る試合が続いてきたことがもどかしかったという。

 春に即戦力となる1年生が複数加入。西田をセンター、中学県代表のエースで活躍した長身の1年生2人をサイドに置き、連係で攻撃を強化。活動自粛明けの対外試合ではパスワークに課題はあったが、1年生の得点力の高さが大きな武器になることを確信した。

 西田も玉城も「課題はあるが、新メンバーはここという時に決める力がある。モチベーションは上がっている」と気力は十分。残りの時間の全てをハンドに傾け、頂点まで走り抜ける。
 (謝花史哲)