【記者解説】米軍にコロナ情報開示要求 根強い不信、県議会もあらわ


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 沖縄県議会が米軍に新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者の情報開示などを求める意見書、決議を全会一致で可決した背景には感染第2波への危機感と、情報を閉ざす米軍に対する根強い不信感がある。

 この日は一般質問2日目で、当初の議事日程には意見書、決議の提案は予定されていなかった。しかし、米軍基地内で新型コロナ感染が相次いでいる事態を重く見た。県議会が決議や意見書を可決する場合は通常、委員会で審議し、その後、本会議という手続きを踏む。しかし10日が金曜日ということもあり、可決が週明け以降にずれ込めば、新型コロナの感染が広がることを懸念した。このため通常の手続きは踏まず、会派の代表者が集う各派代表者会で提案を決めた。

 県民の代表である県議会が全会一致で可決した意義は重く、県民の不安の表れとも言える。常日頃、「良き隣人」を掲げる米軍だが、今回の決議にある要請に応えなければ、県民からの反発は必至だ。

(吉田健一)