米軍コロナ61人「首都圏なら同じことしない」「政府動かす必要」 佐藤学・沖国大教授


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 根本的な話として、米軍が感染者情報を出さないのは軍事機密だという認識だからだ。新型コロナウイルス感染者が続出した原子力空母セオドア・ルーズベルトの問題があったが軍隊内はどうしても人が密になるし、感染が広がっているなら隔離しないといけないが、どの基地で何人感染したかということは、基地の機能の低下を明かすことになるから出せない。

 一方で、基地の外に出て買い物をしたり、基地の外のホテルを借り上げて隔離させたりする。おかしな話だ。基地内住居のキャパシティーはあるはずだ。米軍とはそういうことをする存在だということを、あらためて肝に銘じないといけない。県も日本人基地従業員など関係者からできるだけ正確な情報を集める必要がある。

 例えば、同じことが横須賀や横田など首都圏であったときに、基地の外のホテルを借り上げて隔離し、情報を一切出さないということはしないだろう。米軍は沖縄だからこういうことをやる。日本政府も沖縄だからそれを許す。若い軍人らは感染しても重症化はしないかもしれない。だがそれが沖縄社会に広がり、お年寄りらにうつることが怖い。到底許されることではない。米本土であれだけ感染が広がりまひしているかもしれないが、米軍は危機感がずれている。

 県議会が全会一致で米軍に対する決議をした。基地容認であろうとも党派を超えて、こんな状況は許されないと示した。沖縄の自民党は党のチャンネルを使って地位協定改定や米軍の情報公開に向け、日本政府に圧力を掛けてほしい。沖縄自民党が頑張るべきところだ。政府を動かす必要がある。