基地の日本人従業員「いつ感染」「覚悟決めるしか」 情報なくハンセン出勤


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基地内に入った車両の運転手に検温を実施する米兵ら=11日、金武町の米軍キャンプ・ハンセン

 【北部】金武町や恩納村などにまたがる米軍キャンプ・ハンセンで、新型コロナウイルスの感染者が複数出ているにもかかわらず、詳細な情報が伝えられないまま日本人従業員が勤務していることが11日、関係者の取材で分かった。従業員には休日出勤を命じられた人もいる。基地内の感染症対策が不十分と感じる従業員からは「いつ感染してもおかしくない」「覚悟を決めるしかない」と悲痛な声が上がった。

 米軍から感染者数は公表されていない。休日出勤を命じられた日本人従業員の中には理由を告げられないまま、米兵向けの弁当を千食以上作る人もいた。感染防止対策は消毒やマスクの着用のみで、基地内飲食店には現在も米兵が出入りしている。

 複数の感染者が発表された9日、ある従業員は午前9時ごろに自宅待機を命じられた後、3時間後には出勤を命じられた。

 日本人従業員のLINEのグループでは「行きたくない」「覚悟を決めるしかない」などメッセージが飛び交った。アパートを借りて、家族と別々に住むことを考えている従業員もいる。

 全駐労沖縄地区本部の與那覇栄蔵執行委員長は「クラスター(感染者集団)など基地内の感染状況をまず確認したい」と前置きした上で「日本人従業員も接触があったかどうか、米軍は直接説明すべきだ。日本人従業員の検査の徹底や医療提供も含めて不安を解消してほしい」と求めた。従業員の家族は「命に関わる問題。一刻も早く、感染症対策を強化してほしい」と願った。