「基地内で隔離、大規模PCR検査を」徳田安春医師に聞く 米軍の感染対策


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 在沖米軍基地には日本の検疫に関係なく米国から人員が入ってくる。米国内で急速に新型コロナウイルス感染者が増える中、県内の基地にも入ってくるのは当然だ。今回の基地内感染拡大を受け、県は動いてくれた。普天間飛行場とキャンプ・ハンセンの閉鎖要請、感染者数の公表、保護隔離は基地内にとどめること、基地内の医療体制に関する情報提供、海兵隊のローテーション配備の人数公表も求めたことなどは評価できる。また、米軍が感染者数の公表に応じてくれたことも評価したい。

 感染対策としては以下を推奨する。陽性者・濃厚接触者の基地内保護隔離、米軍関係者全員の基地外への原則外出禁止、基地内フィジカルディスタンス厳守、手指衛生励行およびマスク着用、米軍関係者全員への大規模PCR検査の定期的実施などだ。大規模PCR検査は、数十人分の検体を一度に調べ、陽性の時のみ個別で検査する「グループ検査方式」でやればよいし、沖縄科学技術大学院大学(OIST)に協力を依頼するとよい。

 米国で流行しているウイルスは、日本でまん延しているものより感染力や重症化率が強い可能性もある。ウイルスの臨床特性が完全に解明されていないからこそ情報共有が大事だ。

 県民が感染すれば職業や行動歴が公表されるのに、どこの基地から移動してきたのか行動歴も分からない。県と政府は、韓国やドイツ、イタリアなど諸外国における米軍基地内感染アウトブレイクでの情報公開のあり方も調べるべきだ。

 疫学的な目的で、今回の感染拡大の由来を特定することも大切だ。遺伝子解析で今回のウイルスが米国本土由来であることが確認できる。解析はOISTなどの中立な学術機関が実施するとよい。政治とサイエンスは独立すべきだからだ。