「恩恵を投げ返したい」 緑間玲貴さんが演出、振り付け、構成を務めるバレエ公演 4年ぶりの沖縄公演


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映像作品として「~ルミエール・ドゥ・レスト 東方からの光~」より「Aurore(オロール)」を収録するバレエアーティストの緑間玲貴=2日、宜野座村文化センターがらまんホール

 バレエアーティストの緑間玲貴(りょうき)が演出、振り付け、構成を務めるバレエ公演「トコイリヤ RYOKI to AI vol.6」(主催・トコイリヤ・ソサエティー、共催・宜野座村文化のまちづくり事業実行委員会)が24、25の両日、宜野座村文化センターがらまんホールで開かれる。

 公演に先駆けた新企画としてオンラインWEB配信公演「トコイリヤ ARt MOViEng(トコイリヤアートムービング)」を23日生配信する。

 緑間は「踊りは祈り。祈りといっても、宗教的な意味の祈りという概念ではない。心の内にあるものを出すということが、祈りの根底であるということを伝えたい」と語った。

 2015年から始まった「トコイリヤ」。沖縄公演は約4年ぶり。新型コロナウイルス感染症の影響で公演の開催を検討する中、バレエ作品の映像化に向けて写真家の仲程長治(ちょうじ)を映像監督に迎え、スタッフや出演者総勢約50人が携わるプロジェクトになった。公演は政府が定めるガイドラインを順守し、客席間の距離を取るなど対策を講じる。

 WEB配信は撮り下ろしの舞踊映像作品と劇場から無観客での生配信を行う。公演と映像作品の幕開けの作品は「~ルミエール・ドゥ・レスト 東方からの光~」。トコイリヤの原点でもあり、緑間の代表作だ。映像作品では宜野座のヒーピー浜や前ヌ御嶽など豊かな自然の中で収録された踊りも特徴だ。

 新作の「四方拝」は、毎年元日の早朝に、宮中で天皇が天地四方の神祇を拝する儀式から着想を得た。久高島のイザイホーでも「四方拝」が行われていた。緑間は「自分の中に内在しているものと、土地土地の文化をバレエに集約し、新しく生まれた作品だ」と思いを話した。

 「トコイリヤ」をいずれは海外で上演したいと意気込む。「約100年前に日本にやってきたバレエを先生方が沖縄に根付かせた。沖縄から世界へ恩恵を投げ返したい」と力を込めた。

 出演は緑間、前田奈美甫、上杉真由、柳元美香、平敷勇也、犬養憲子、引地史恵、關口奈美、中山伸子、石山和佳、井上麗子、佐川愛、吉原詞子、儀間紋莉、菊川乙音。演奏は川満睦、金城吏美、加納由美。

 オンラインWEB配信公演「トコイリヤ ARt MOViEng」は23日午後7時から。チケットは3000円から。30日夜8時まで購入でき、アーカイブ期間の30日午後11時59分まで視聴できる。劇場公演は24日午後6時、25日午後3時開演。入場料は全席指定席で税込み1万円。

 問い合わせは公演事務局(電話)098(866)3313。 (田中芳)