マンゴー贈答用の売れ行きは順調 土産用は減でも通販の注文が増


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 6月上旬から出荷が始まった県産マンゴーが、出荷最盛期を迎えている。県農林水産部が発表した今期の生産量は前年比5%減の1744トンで、若干減少したものの平年並みを見込む。暖冬の影響や、開花時期に低温が続き着果不良が多く見られたことが影響した。新型コロナウイルス感染拡大で観光客が減少し、観光土産としてのマンゴーの需要は例年と比べ落ち込む一方、中元など贈答用としての売れ行きは順調だ。

 JAおきなわは、各地のファーマーズマーケットでマンゴーの特価販売を行う。店内には発送を受け付けるブースも設け、県外発送に力を入れる。

 ちゃんぷるー市場でマンゴーを見定めていた八巻礼子さん(78)=宜野湾市=は「県外の友人にマンゴーを贈る。沖縄からの贈答品はマンゴーが一番喜ばれる」と話す。

 高級果実として沖縄ブランドを築いた県産マンゴーは、生産量の8割が贈答用や観光土産で県外に発送される。家庭消費よりも中元や贈答用としての需要が高いことが特徴だ。

 JAおきなわ営農販売部によると、渡航自粛が解除された6月19日以降、観光客の土産需要が徐々に回復した。7月に入ってさらに活発になったが、それでも例年と比べ土産需要は低いという。

 一方、JAおきなわが運営する通販サイトは閲覧数が増加傾向にあり、沖縄に来られなくとも通販でマンゴーを注文するケースが増えているという。

 物流が回復したことも、順調な贈答需要を後押ししている。今年の4、5月、新型コロナで沖縄を離着陸する航空便が減便・運休したことで、県外輸送に制限が掛かるなど県産農作物の物流停滞が生じた。

 関係者からは夏場のマンゴー輸送を懸念する声が多く上がったが、現在は航空便の便数も回復傾向にあることから、安定した輸送体制にある。臨時便は運航せず、輸送は通常便で間に合う。

 一方、JAおきなわの担当者は東京で新型コロナの感染者が連日200人を超えるなど感染拡大が起きていることから、今後の航空減便の可能性も危惧する。