米軍の感染者、不透明な移動経路 岩国では入国時に虚偽報告 感染者急増の沖縄も不明点多く


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 県内で新型コロナウイルスの感染が確認された米軍関係者は14日、100人に達した。同日、基地の封鎖や情報公開を求める県内の政党や議会の動きが相次いだ。在沖米海兵隊は借り上げている北谷町のホテルを入国者の隔離に使わず、出国者を滞在させることを表明。山口県の岩国基地では、感染した米軍関係者の虚偽報告が明らかになった。県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)は15日、日米政府に情報公開や感染対策の徹底、日米地位協定の改定などを要請する。


 【東京】米軍岩国基地(山口県)で新型コロナウイルス感染が判明した米軍関係者3人が、移動手段について虚偽の報告をしていたことが明らかになった。3人は羽田空港から入国した12日にPCR検査を受けたが、結果が判明する前の13日午前に民間機で岩国に移動していた。在沖米軍基地で急増している感染者の入国経路には依然不明な点も多く、同様のケースが起きている可能性は排除できない。

 県関係者によると、沖縄でも米軍関係者の感染が数人にとどまっている時期は、移動経路を含めた情報を比較的円滑に得ることができたという。だが感染が急拡大してからはその情報も滞りがちで、県幹部は「多すぎて米軍も追えていないのではないか」と推測する。河野太郎防衛相は14日、今回の虚偽報告と同様の事例が他にあるかどうかに関して、記者団に「当然調べることになる」と述べた。

 一方で、在沖米軍基地での感染急増を受け、政府に対し感染状況の情報開示を求める動きが国政与野党から出ている。

 県関係の自民党国会議員でつくる「かけはしの会」の国場幸之助氏と宮崎政久氏は14日、外務省で茂木敏充外相に対し、米軍基地内への感染隔離の徹底や行動履歴などの情報開示、米軍関係者に検疫法を適用するための日米地位協定改定、米軍基地の管理権移管などを求めた。宮崎氏によると、茂木氏は「県民に感染と不安が広がることのないようしっかり対応していく」と応じたという。

 また、野党議員でつくる「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」の近藤昭一衆院議員(立憲民主)らも同日、外務省に対し米軍基地内の感染状況に関する情報開示などを求めた。