3連覇か阻止か 伝統の北山、新鋭の辺土名 3度目の決戦  未来つむぐ夏(12)


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県総体での健闘を誓い合う(左から)辺土名のGK赤嶺浩登と諸喜田康平主将、北山の大城瑠架主将とGKの佐藤恵亮=5日、今帰仁村の北山高校(大城直也撮影)

 ホッケー男子は2009年に再結成した伝統校の北山高と18年に創部した辺土名高による3年連続の決戦となる。辺土名が2連覇中。北山3年生にとって雪辱を期す舞台となる。創部の年から打ち込んできた辺土名の3年生も集大成の場で連続優勝回数を伸ばそうと燃える。ライバル校として1年から見知った仲。互いに全てを出し切って輝く夏にしようと誓い合う。

 今帰仁村がホッケー会場となった1987年の海邦国体をきっかけに地元の北山でも創部につながった。一時途絶えたが、2010年の美ら島総体に向けて再び活動を開始し、当時は開催地枠で本選に出場した。対戦相手がいないため、その後も県予選は開かれず、九州大会への参加をメーンに活動を続けてきた。

 辺土名では北山女子ホッケー部の監督だった山内学教諭(県ホッケー協会理事長)が転勤した18年に生徒に声を掛けて部ができた。最初はバスケットボールやテニスなど他部の生徒たちが掛け持ちで大会出場していたが、今の3年生のほとんどは1年から専門に打ち込んできたメンバーだ。

 ホッケーは、先端部が湾曲した長さ約90センチのスティックでボールを扱い、得点を競う。ゴールキーパー1とフィールドプレーヤー10人の計11人で戦う。

実戦練習でそれぞれ連係を確認する辺土名と北山の選手たち=5日、今帰仁村の北山高校(大城直也撮影)

 スティックには平らな面と丸い面があり、平らな面でしかボールを扱うことができない。ドリブルなどの時は、スティックをうまく使いながら、平らな面のみを使うようにしなければならないなど、器具の使用にもテクニックが求められる。

 県内で試合数が少ないことは、スティックさばきの向上だけでなく、フィールドの使い方やボールを奪い合う駆け引きなど競技レベルの引き上げの課題にもなっていた。

 辺土名の参入で、18年の県総体で初めて男子の大会が実現するなど、ようやく県内でカードが組める環境となった。山内教諭は「得点力も上がり、少しずつだが九州のレベルに近づけていると思う」と競技力の向上に手応えを得ている。

 県総体戦績は辺土名が18年に2―0、19年は2―1で北山を破った。そして今年も相まみえる。北山主将の大城瑠架(17)は「最後は絶対に勝ちたい」と語気を強める。スティックの扱いなど「とても難しい競技」で続けることを諦めかけた時もあったが「1人ではどうにもならない。チームで成長していることが感じられることが楽しくなった」と切磋琢磨(せっさたくま)してきた仲間と最後の戦いに懸ける。

 辺土名主将の諸喜田康平(18)は、昨年11月の全九州選抜大会で初戦突破したことで「勝負できる」と手応えを感じ、再び九州の舞台で戦うことを目指していた。九州総体は中止になったが、プロの試合動画で研究するなどし「戦略が楽しい」と最後に備える。「諦めやすい性格もホッケーを続けることで変われた。打ち込んできて良かった。県内では負けたくない。辺土名らしいプレーで楽しみたい」と待ちわびている。
 (謝花史哲)