基地従業員に一部病院が診療制限 全駐労に相談相次ぐ


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 【中部】米軍基地内で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、基地従業員やその家族らが県内の一部の病院で立ち入りを制限される事例が確認されている。全駐留軍労働組合沖縄地区本部(全駐労)には16日までに、診察や入院患者への面会を拒否された基地従業員からの相談が相次いでいる。

 本島中部のある病院は10日付で、院内の立ち入り制限に関する張り紙を掲示した。新型コロナの症状や県外へ渡航歴がある人に加え「2週間以内に米軍基地への立ち入り、および米軍関係者が訪れるイベント・飲食店などに行ったことがある」という条件が記された。本紙の取材に応じた60代女性は、家族に基地従業員がいるため、同病院から受診を取りやめるよう伝えられた。リハビリや診療のために通院する女性は「突き放されたような気持ちだ。どこで診察してもらえるのだろう」と胸の内を明かした。

 女性の夫で、キャンプ瑞慶覧で働く男性は「病院側も感染防止対策に頭を悩ませているのだろう」と一定の理解を示す。一方で「せめて基地に出入りしない家族だけでも病院の利用を認めてほしい」と訴えた。

 同病院は本紙の取材に「配慮が足りず、当事者への説明が不十分だったことをおわび申し上げる」と回答した。制限措置については「基地内でクラスターが発生し、詳細な情報を得られなかったことから対応を取った」と説明した。

 全駐労によると、別の病院でも診察を拒否された人や、本島南部の病院で健康診断を見送るよう伝えられた人がいるという。全駐労の與那覇栄蔵執行委員長は「沖縄防衛局や米軍は、基地従業員に対するPCR検査を徹底するなど従業員の安全を保障してほしい」と求めた。(下地美夏子)