「黒人への先入観、真実ではない」 OIST職員のエステルさん 米暴行死機に差別の経験語る


社会
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 【恩納】米中西部ミネソタ州で起きた白人警官による黒人男性暴行死事件に端を発した抗議デモが世界各地で広がる中、県内でのデモに参加するアフリカ系米国人がいる。恩納村の沖縄科学技術大学院大学(OIST)で働くステファン・エステルさん(25)=米・イリノイ州出身=だ。県民にも「『黒人』のステレオタイプ(先入観)にとらわれないで」と訴える。

黒人差別の現状を語るステファン・エステルさん=7日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

 4月に来日したエステルさん。機械工学などが専門で、OISTでは実験器具の研究開発に取り組んでいる。その中で、抗議デモの発端となった警官による暴行死事件の動画を目にした。「自分自身や家族だったら」と恐怖が募った。

 「沖縄では受け入れられている」と感じ「うれしい」と語る。一方、米国では店に入っただけで犯罪者扱いされて警戒されるなど、思い返すと偏見にさらされてきた。沖縄市で開かれたデモや、OISTでも会合を持ち差別された経験を語った。

 黒人は外見だけで判断されがちだとし「(黒人に対するイメージが)皆ステレオタイプに凝り固まっている。友人との関係にも困難がある」と力説する。

 黒人というと「ラッパー」や「バスケットボール選手」というステレオタイプがあるという。それを壊そうと黒人によるテクノロジー関連の会社を設立するのが夢だ。「皆が受け取っているステレオタイプは真実ではないということを分かったほしい」と訴えた。