スマート農業本島始動 サトウキビ産業負担軽減へ


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努

 生産量減少が続く沖縄本島のサトウキビ産業を盛り上げようと、ゆがふ製糖やくみき、JAおきなわなどはICT(情報通信技術)を活用したスマート農業「さとうきびスマート農業(サトスマプロジェクト)」を始動する。自動走行のトラクターによる植え付けや、ドローンを使った農薬散布など、農作業の負担軽減を図る。早ければ8月に国頭村で実証を始める。本島各地で導入を目指す。 

 本島のサトウキビ産業は農家の高齢化に伴う離農や労働力低下が進み、生産量と栽培面積が減少している。ゆがふ製糖によると、20年産サトウキビの本島での栽培面積は2419ヘクタールで、6年連続の減少となった。過去10年間で1212ヘクタール(34%)が減少した。

 サトウキビの機械化について、1人当たりの栽培面積が大きい離島はハーベスター(収穫期)の導入率が8~9割と高い。だが、沖縄本島の農家は十分な畑の広さがないことなどから導入率が58%にとどまり、作業の軽減が進んでない。

 同プロジェクトは、小規模農家でも農業機械を導入できるよう、小型トラクターに衛星利用測位システム(GPS)機能を付けることもできる。GPSで自動走行が可能になり、トラクターの操縦経験が少ない新規就農者でも効率よく植え付け作業ができる。

 操縦席にタブレットを設置し、作業の状況を客観的に把握しデータ化できるため、効率的な経営も期待できる。今後は自動で収穫ができるよう開発を進める。

 県や市町村、肥料会社などが参加する説明会が17日、うるま市生涯学習・文化振興センターゆらてくで開かれた。国頭村の安波土地改良区の計5.5ヘクタールで実証を開始することなど、方向性を共有した。

 ゆがふ製糖の島尻勝広社長は「沖縄本島は高齢化がかなり深刻だ。幅広いITや取り組みを農家に紹介することで、農家に還元できるだろう」と期待した。