【記者解説】全米軍関係者のコロナ検査 迅速な検査体制構築、透明性ある情報共有が焦点


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米軍基地内の新型コロナウイルス感染拡大を受け、日米が全ての米軍関係者を対象に米国出国時と日本入国後にPCR検査を実施する方向で検討に入った。感染源が米本国から持ち込まれ、米軍基地から外へ広がる流れを断ち切る狙いがある。新規の感染判明が連日続いており、全員を検査できる体制をいかに迅速につくれるかが焦点になる。

 これまで米軍側は、日本に入国する軍関係者について米国出国前と入国時にそれぞれ2週間の隔離措置を取ってきた。ところが米国からの異動時期が重なる7月に入り、在沖米軍基地では感染者が急増した。米国出国時と日本入国時で計約1カ月近い隔離措置を講じても、無症状のまま感染源となってしまっている可能性を捨てきれなくなった。

 在沖米軍基地で拡大する感染源は特定されていない。だが、河野太郎防衛相は17日の記者会見で「無症状者が停留(隔離措置)で症状が出ず、(日本に)入ってきて感染していると思っている。それ以外考えにくい」と指摘。2週間の隔離措置以外に陽性かどうかを判断するPCR検査が必要だと強調した。

 日米地位協定に基づき、基地内では米側の検疫手続きが適用される。検疫の実態が把握できないことが県や周辺住民の不安につながってきた面があり、PCRの検査結果や情報共有に関する透明性の確保も不可欠になる。

(當山幸都)