【熱闘・高校野球】シード沖縄工、守備乱れリズム戻らず、八重山にのまれる(7月18日2回戦)


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八重山―沖縄工業 7回1死二塁、適時打で生還しガッツポーズでほえる八重山の2走・宮良忠利=18日、那覇市の沖縄セルラースタジアム那覇(大城直也撮影)

 ピンチに出た一つ一つは小さなミスだった。中盤に巻き返して同点に持ち込んだ。七回表、四球や単打などで塁を埋められると、ぬかるみに足を取られて悪送球が重なった。思うようにいかないプレーに右足を強く蹴り上げる選手もいた。勢いづく八重山の波にのまれ、最後までリズムを取り戻せなかった。

 終了後のあいさつで國吉涼介主将は右腕で目を押さえ下を向いた。「ありがとうな。気持ち背負って次も絶対勝つから」。八重山の内間敬太郎主将に左肩をたたかれ、我慢できなかった。

 春季で高打率を誇った上位打線は八重山の2投手の前に実力を発揮できず不完全燃焼だった。國吉は「上位が機能せず悪い流れができた」と何度も詰まりながら、言葉を紡いだ。甲子園の中止もあって、チーム内がまとまらず「正直、主将としても分からなかった」と悩んだ時期もあったが、3年生は一人も抜けることなく臨めた大会だった。

 試合後のミーティングで知名淳監督は「今までやってきたことは間違いじゃない。下を向く必要はない」と、涙をこらえ全員に感謝を伝えた。「この悔しさをどう乗り越えるか。経験を糧に人生を歩めばいい」。3年生26人の夏が幕を閉じた。

(上江洲真梨子)