7月に高校生の就職活動が本格的に始まり、約2週間が経過した。県内の工業高校に届く求人数は例年通りとなっている一方、商業高校に届く求人の出足が鈍い。進路指導担当教員らは「コロナ禍でも製造業の求人は底堅いが、サービス業は影響が大きく、求人が減るのではないか」と危機感を募らせる。
企業による学校への求人申し込みは1日に解禁された。例年だと解禁直後に多くの求人票が集まり、その後は徐々に増えていくという。那覇商業高校には解禁1週間で約300件の求人が集まった。例年の同時期は600件ほどが集まっていたので半減している。進路指導担当者は「最初は順調だったが、だんだんと少なさが目立つようになった。昨年は合計で千件あったので、そこまで届くかどうか」と心配する。
新型コロナウイルスによる臨時休校が長期化したことを受け、今年の就職活動は1カ月延長された。企業側は求人を出せる期間が延びたため、今後は求人数が増える可能性もあるが、大手航空会社がグループの採用活動を中止するなど、懸念材料は多い。
一方、工業高校には例年通りの求人が集まる。那覇工業高校の進路指導担当者は「大手自動車メーカーの関連企業から11年ぶりに求人が届くなど、逆に増えているイメージがある。ものづくり企業はコロナ禍でも強いのかもしれない」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
今年は就職活動が1カ月延びたものの、臨時休校は約2カ月に及んだため、期間は差し引き1カ月間短い。面接指導に当てていた夏休みは大幅に短縮され、就職指導も例年通りにはいかない。各高校の進路指導部は放課後を活用した指導を行うなど、工夫を凝らしている。(稲福政俊)