自民「法令違反」県「適正」…日額2万7000円「万国津梁会議」報酬めぐり応酬


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 玉城デニー知事の目玉政策「万国津梁(しんりょう)会議」の委員報酬を巡って、開会中の県議会6月定例会の代表・一般質問で質疑が相次いだ。県は2019年度は「基地問題」と「児童虐待」「SDGs」の三つのテーマで万国津梁会議を開催し、専門家の委員が玉城知事に提言した。委員報酬は日額2万7千円。20年度は五つのテーマが設けられ、基地問題以外の報酬を日額8400円に減額する。この減額を捉え、照屋守之氏(沖縄・自民)は19年度報酬は「法令に違反していた」と主張し、激しく追及した。県は「職責に応じた額だ」として適正だったと反論した。

 照屋氏は2006年に県総務部長名で県各部局に出された通知「審議会等の構成員に対する謝礼金支払い基準について」を引き合いに出し、通知に記載される「会合」構成員に対する日額8400円の謝礼金が正当な額だったと主張した。

 県は19年度の万国津梁会議の委員報酬を日額2万7千円と仕様書に記載の上、公募に応じた外部業者に委託した。県によると、同通知は県庁内部の審議会や会合に関する規定で、外部委託事業について定めたものではない。そのため万国津梁会議に基準額を適用する必要はないとする。

 では日額2万7千円はどう設定されたのか。県は委員から「意見の表明にとどまらず、調査研究内容の発表も期待される」ことから、知事の命ずる事項について調査研究し、提言することを職責として外部から登用する「県政参与」の給与に準じたと説明する。一方、20年度報酬は「個別事情を勘案」して、基地問題以外の報酬を日額8400円に減額した。

 20年度は既存の基地問題とSDGsに加え「多様な人材育成」「稼ぐ力」「海外ネットワーク」の5テーマを設けた。そのうち海外ネットワークは「情報収集や資料作成は県で対応可能」(渡久地一浩文化観光スポーツ部長)と説明した。

 一方、喜友名智子氏(てぃーだネット)は「業務が変わったから減額するというのは専門家の知見に対して残念だ。適正額をお願いしたい」と批判した。

 万国津梁会議を巡っては昨年、玉城知事が設置支援業務を受託した事業者と契約日前日に会食していたことが野党から問題視された。不当な契約だったとして住民監査請求が起こされ、合議不調となった。現在訴訟が継続中だ。

 監査請求の結果報告では、委員報酬の額について「委員の職責を考慮して設定されたもの」として妥当と判断している。