<東京五輪まで1年>「頭の中のイメージを一度崩す」 池原綾香(ハンドボール)


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 2021年の夏に延期された東京五輪の開幕まで23日であと1年となる。東京パラリンピックの開幕はその約1カ月後。新型コロナウイルスの感染収束への道筋が立たない中、来年の開催についても不透明さを増している。しかし、県勢選手たちは立ち止まってはいない。夢の舞台で光り輝く瞬間を信じ、自らの限界に挑み続けている。

左足の膝のけがを乗り越え、東京五輪出場、メダル獲得を目指す池原綾香(写真は2018年当時)

 ハンドボールの伝統国、デンマークの1部リーグに移り4年目となった。2度のけがを乗り越えた池原綾香(那覇西高―日体大出)は東京五輪の1年延期を冷静に捉える。「不十分だったコンディションをいかに最高にもっていくか。それが代表入りや五輪の舞台で強豪国と渡り合う鍵になる」とスポーツの祭典でのプレーを思い描く。

 2017年にニュークビン・ファルスターに移籍して活躍したが、シーズン途中の18年3月、練習中に左膝の靱帯(じんたい)を部分断裂して途中離脱した。復帰して2季目に臨んだが、19年1月の試合でシュート後の着地で右膝をひねり、前十字靱帯(じんたい)と半月板を損傷した。手術、リハビリを経て同年11~12月に熊本県であった世界女子選手権では代表復帰を果たした。

 不屈の精神での復活だったが、以前と全く同じ動きはできない。思い描くイメージと一致せず「納得できないまま終わってしまった」。五輪の前に出場を目指してきた選手権のコートに立ったことを周囲はたたえてくれたが「出た以上は役割を果たさないといけない」と自分のプレーがふがいなく、悔しさだけが残った。「頭の中のイメージを一度崩さないといけない」。プレースタイルを見つめ直す必要性をはっきりと認識した。

 強豪のオーデンセへの移籍が決まった中、五輪が延期となった。帰国も考えたが、欧州チャンピオンズリーグへの出場権を持つチームでもあり、デンマークに残り、そこでしかできない経験で精進を重ねる。巡り巡ってきた好機を代表でも還元できるよう成長を誓う。
 (謝花史哲)