劣等感あおる広告動画 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[169]


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モバイルプリンス

 

動画サイト「YouTube」では動画の間に企業からの広告が流れることがあります。

これらの内容が視聴者を傷つけると批判の声が集まり、抗議の署名運動が起きています。

ダイエットサプリを売りたいがために「太っている女性がひどい目にあい、ダイエットサプリを飲む…」という内容の広告が流れてくるのです。

 

モバイルプリンス

 

このように、人の見た目や体型などにネガティブなイメージを植え付け、それを解消するための商品を「コンプレックス商材」【※1】と呼びます。

中でも美容系・健康食品系の商品は正しい情報で宣伝するよう、法律で細かくルールが定められていますが、あまり守られていないグレーな広告が多いのも問題です。

 

※1 コンプレックス商材 … 脱毛に関する広告、あるいは増毛薬など人の「毛」に関する商品、ダイエットや美容サプリなどがコンプレックス商材にあたります。漫画形式で、その「商材を使っていないと不幸になる」といった広告が多いのが特徴です。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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人の外見を過度に評価対象にすることを「ルッキズム」【※2】と呼びます。

本来は考え方や行動、性格などいろいろな要素で「その人」ができています。

しかし過度に見た目だけで評価をすると、「自分は太っているからダメな人間だ」「鼻が低くてブサイクだ」と、自分のほかの可能性を捨て、ネガティブな世界に閉じこもることにもつながります。

コンプレックス商材は「ルッキズム」を後押しし、思春期の皆さんの心をマイナス方向へ引っ張るのです。

こうした広告を回避する方法は月額1180円(税別)のYouTube Premiumに加入するくらいしかありません。

いずれにしてもこうした商材や価値観があることを知り、自分が引っ張られないよう意識してみましょう。

 

※2 ルッキズム … 人を見た目で判断していくと、いずれ自分にも「ルッキズム」は跳ね返ってきます。残念ながらルッキズムはネットの世界だけでなく、一般社会でも広く普及している価値観です。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/