離島で初、県立宮古病院に最新血管撮影装置 患者の負担減らす


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 【宮古島】県立宮古病院(本永英治院長)は16日、2方向から同時撮影ができる最新の血管撮影装置を離島地域で初めて導入したと発表した。同装置は脳内や循環器の血管内治療などに使用する。同時2方向撮影によって患者の負担が軽減されるほか、操作性や手技速度が向上する。撮影画像も鮮明になり複雑な病変にも対応できる。

県立宮古病院が新しく導入した血管撮影装置=16日、宮古島市平良の県立宮古病院

 血管内治療はカテーテルやコイル、ステントなど専用器具を使って血管の中から病気を治療する方法。宮古以南の離島地域は沖縄本島から約300~400キロメートル離れており、緊急を要する患者搬送が困難で地域完結型治療が求められていた。宮古病院では2016年4月から脳血管内治療専門医が在籍し、治療に当たっていた。新装置の導入で、これまで本島に搬送が必要だった患者も同病院での治療が可能になった。県内では県立南部医療センターと県立中部病院、琉球大学病院に設置されている。

 新装置はことし3月18日に宮古病院に導入され、これまでに4例の治療に使用された。本永院長は「国内でも最新の脳卒中急性期治療が宮古病院でもできるようになった」と導入の意義を強調した。

 会見では、本永院長をはじめ宮古病院脳神経外科の山本聡医師や福岡大学から派遣され宮古病院で脳血管内治療専門医として勤務した福田健治医師らも同席し、新装置の性能などを解説した。

 山本医師は新装置の導入メリットについて「撮影のために使用する造影剤の投与が1回で済み、患者の負担が減る」と説明した。「急性期の脳血管内治療は時間が一番大事だ。本島に搬送していた患者をここで治療できる」と話した。

 福田医師は特徴として高速と高画質、低被ばく、高機能の四つがあるとし「複雑な病変にも安全確実な治療が可能になった。カテーテル治療を先島に普及させられる」と期待した。