美里工の堅守が中部商の自慢の俊足を止めた。好打に加え、盗塁や犠打の敢行が多く、走塁技術も高い中部商に対し、徹底した事前のデータ分析を生かしてその足技を封じた。
初回から、捕手の岡本恭輔が外野の守備位置を細かく指示する場面が目立った。「この打者の打球は右が多いとか、前日にも動画を見て頭にたたき込んできた」。打者が変わる度、外野を動かし、抜ける当たりに対応した。
さらにバッテリーがけん制で進塁を封じる。春季から毎試合、盗塁を成功させてきた中部商がなかなか走り出せなかった。七回には、岡本が素早いフィールディングで二盗を阻止。好守で攻撃へといいリズムをつないだ。打っては四球や暴投も絡んで得た好機に着実に加点し、9安打で8得点。中盤から圧倒していった。
大阪出身で、単身寮生活を送る岡本。準決勝以降、大阪から応援に駆け付ける両親のためにも「どこよりも長い夏にする」と言い切った。
(上江洲真梨子)