おばあ奮闘「山羊かまー救え」…AED手当てマニュアル動画公開 那覇市消防局


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動画で倒れた山羊かまーを妻のうしらが助ける場面(ユーチューブより)

 那覇市消防局はこのほど、しまくとぅばで応急手当てを解説する動画を作り、動画投稿サイト「ユーチューブ」で公開した。おじいさんがヤギに草をあげている最中に胸が痛くなって倒れ、おばあさんらが自動体外式除細動器(AED)を使うなど応急手当をして助けるという物語仕立てだ。脚本、出演、撮影、編集の全てを職員が担った。職員たちは「楽しみながら応急手当てとしまくとぅばに興味を持ってほしい」と話している。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、市消防局は一時期、応急手当て講習会を中止した。その代わりに、応急手当普及員たちが自宅で応急手当てを学べる動画を作り、5月に公開した。最初の動画は標準語で物語もなかったが、市がしまくとぅばの使用を推進しているため、知念鉄雄救急課長(56)がしまくとぅばバージョンの作成を提案した。7月1日に公開した。

 脚本を書いたのも知念課長。主人公のおじいさんの山羊かまーという名前は「ヤギをよく食べる人」という意味で、妻の山羊うしはうし年の71歳と設定も細かい。知念課長の情熱に押され、救急隊員たちも出演を快諾した。動画は24時間の当番勤務を終えた後、4時間をかけて撮影された。

脚本を書いた知念鉄雄救急課長(中央)と撮影などを担当した応急手当普及員ら=15日、那覇市銘苅の市消防局

 かまーを演じた安里誠也さん(42)は「救急現場でお年寄りからしまくとぅばで話し掛けられた時、理解はできても自分から話すことはできなかった」という。うしを演じた安谷屋秀虎(ひでたけ)さん(36)も「しまくとぅばの単語を使う程度」で、2人は「動画に出演していい勉強になった」と口をそろえる。

 撮影は動画第1弾に続き、応急手当普及員3人が担当した。タブレット3台のカメラを使い、一発で成功させた。講習会は7月から再開したが、動画をきっかけに参加した人もいたという。普及員の比嘉スターさん(24)は「市内のほとんどのコンビニにAEDがあるのに使えないのはもったいない。何かがあった時、誰もが対応できるようになってほしい」と話した。