【記者解説】警戒レベルと対応策、指標の実効性は 県の自粛見送り


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新型コロナウイルスの警戒レベル第2段階における実施内容について説明する玉城デニー知事(右)=28日午後、県庁

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、県は26日に独自の警戒レベルを4段階中の第2段階「流行警戒期」に引き上げた。玉城デニー知事はその実施内容を28日に発表するとしていたが、記者会見で示されたのは具体策というよりも、注意喚起のレベルにとどまった。

 7月に入ってから、県内の感染者は急速に増え続けている。28日は1日当たりの確認数が21人と、初めて20人を超えた。感染経路がある程度追えており、濃厚接触者への検査が早期にできているからとはいえ、4、5月の「第1波」より日ごとの感染者数の増加スピードが速い。

 県は4連休中の24日と26日に全庁体制の対策本部会議を開き、対応を協議した。24日の時点で、直近1週間の新規感染者数や入院者数は警戒レベル引き上げ判断の基準を超えていたが、玉城知事は「直ちに医療体制が逼迫(ひっぱく)する状況ではない」と引き上げを見送った。そのわずか3日後、27日の専門家会議で県は「医療現場の体制は『逼迫している』との認識を共有した」という。

 観光や経済活動への影響などを考慮したとはいえ、第2、第3波の流行に備えて策定したはずの警戒レベルやその判断指標の実効性が問われる側面もある。

 クラスター(感染者集団)が発生した米軍キャンプ・ハンセンや普天間飛行場の基地従業員ら千人超を対象にした検査の結果も随時判明する。移入例が懸念される観光と、感染拡大が続く基地への対応の両にらみだからこそ、県には迅速な判断と的確な対策が求められる。
 (座波幸代)