感染急増の沖縄、7月だけで134人 観光シーズン県内外の往来増えて再拡大


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 新型コロナウイルスの感染者は7月だけで3桁の134人に達した。県外からの移入例を皮切りに再拡大した県内での感染は、本島北部や離島など県内各地に急速に広がる。「夜の街」を含めて複数のクラスター(感染者集団)が発生し、感染経路不明の患者も大幅に増えており、市中感染の懸念も増す。さらには沖縄に渡航歴のある県外患者も出るなど、沖縄を起点にした感染も広がりつつある。

新型コロナの新規患者やクラスターの発生について説明する糸数公保健衛生統括監(右)=29日午後、県庁

 「確認中」「確認中」「調査中」「調査中」。29日、新型コロナの新規感染者に関する県の説明は異例の内容となった。これまでは性別や年齢、推定感染経路など患者の基礎的な情報を提供していた。この日、県が発表した感染者は過去最多を更新する44人。感染経路だけでなく職業、発症日に関しても「確認中」や「調査中」の言葉が並び、中には居住地が確認できていない感染者もいた。

 感染経路について、県は「調査中」としている患者でも一部は患者接触によるものとみており、全てが「感染経路不明」ではない。ただ感染拡大の懸念は数値上も表れている。那覇市保健所に寄せられた新型コロナに関する相談件数は26日は34件だったが、27日は126件、28日は143件に急増した。感染者数に比例するように伸びており、市中感染の不安が高まっている。

 7月の感染の広がりは、渡航自粛が解かれた県外からの移入例で始まった。観光シーズンを迎え県内外や県内離島間の往来が増える中、沖縄に起因する感染者も確認された。宮古島市で初めて陽性が確認された患者は23~26日に那覇市内に滞在しており、宮古島に戻った27日に症状が出た。28日に山口県、29日に福井県で陽性と発表された患者は、沖縄への渡航歴があることも確認されている。

 県の警戒レベルは29日時点で第2段階のままだが、県は渡航自粛などには踏み込んでいない。感染拡大に歯止めがかかるか、当面は県の対策に焦点が集まる。県の糸数公保健衛生統括監は「対策本部で検討する」と述べるにとどめた。