<深掘り>警戒レベル上げぬ「総合的判断」指標どこに? 県幹部「なぜ沖縄だけと言われる」


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那覇市松山の店舗を対象に休業要請を実施する方針を示した玉城デニー知事=30日午後、県庁

 県内の新型コロナウイルス新規感染者数は26日の6人から28日は21人、29日は44人、30日は49人と増加の一途だ。玉城デニー知事は24日から30日までの3回の対策本部会議で、政策決定をしてきたが、感染拡大に歯止めを掛けられていない。今回、県独自の警戒レベル第2段階の対策として休業要請に至ったが、警戒レベルを判断する指標や対策実施例といった県が事前に策定した目安ともかけ離れ、県民に伝わりづらいとの課題もある。

 警戒レベルを判断する七つの指標のうち、30日現在で三つが第3段階、一つが第4段階にある。だが今回、県はPCR検査体制を拡充していることから感染者の急増は必然であり、大半は中南部にとどまっていることから第3段階への引き上げを見送った。中南部のクラスター対策を集中的に実施する考えだ。

 第3段階に移行すると、4月と同様に県独自の緊急事態宣言を発し、不要不急の県外渡航や外出自粛要請を実施する厳しい局面となる。県幹部の1人は「沖縄だけ先んじると、打撃を受ける観光業界から『全国的にやっていないのになぜ沖縄だけ』と言われる」と述べ、慎重な判断を続ける。県は警戒レベルの段階に応じた具体的な対策実施例を定めているが、政治判断を優先させることが多い。第2段階の対策実施例は県外への渡航自粛要請を行うとされるが、観光業界の強い意向を受けて回避した。

 一方、接待・接触を伴う業種への休業要請は実施例では「検討」にとどまるが、今回、クラスター発生を理由に実施を決定。指標と実施例を掲げたが、結果的には「総合的に判断」という説明に終始し、県の考え方が分かりにくい一因となっている。

 玉城知事は「その時点の分析と判断は、その都度適宜対応している」と適切な判断だと強調する。だがその直後に「難しいですけどね。先が読めなさすぎて。それだけ数が増えているのは衝撃的な感覚を覚えている」と語った。
 (梅田正覚)