コロナ取材で県内メディア排除 米軍大佐「広範囲に発信するため」 識者「地元への説明が先」


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30日、キャンプ瑞慶覧で琉球新報などの取材に応じたニール・オーウェンズ大佐

 在日米海兵隊が24日、キャンプ瑞慶覧(北谷町など)で共同通信社とNHKを招いて新型コロナウイルス対策を公開した際に、琉球新報など県内報道機関に案内しなかった件で、米海兵隊太平洋基地政務外交部長のニール・オーウェンズ大佐は30日、「われわれのメッセージを広範囲に発信するため」と全国的な報道をしてもらうためだったと説明した。
 オーウェンズ氏は「日本本土の報道機関の報道網を使うことを考えた」とした。「多くの方々を一つの場所に集めると密が生じ、ソーシャルディスタンス(社会的距離)も確保できなくなる」とし、案内するメディアの数を絞った理由にコロナ対策を挙げた。

 立教大の砂川浩慶教授(メディア論)は「在沖米軍基地で感染が広まっている事態について、本来は地元への説明が先に来るべきで(日本全体への発信力を理由にするのは)本末転倒だ。地元を軽視しているとしか思えない」と批判した。
 慶応大の鈴木秀美教授(憲法・メディア法)は「全国に伝わりやすいという米軍の都合でメディアを選別するのは、広報としておかしい。感染対策で密を避けるというのも、選別しないで対応できるよう工夫すべきだった」と指摘した。