鳴き声、ジュゴン以外か 環境監視等委 嘉陽沖で継続調査


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絶滅危惧種のジュゴン=2008年3月、名護市嘉陽沖(ヘリから撮影)

 沖縄防衛局は7月28日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設工事に伴う新基地建設に関する第27回環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大大学院教授)を那覇市のネストホテル那覇で開いた。工事が始まって以降、周辺海域で絶滅危惧種のジュゴンの姿が確認されていない一方、今年2月以降にジュゴンらしき鳴き声が水中録音機に記録されていることについて、音源はジュゴンではない可能性もあるとの事務局の説明を了承した。

 委員会はジュゴンの可能性を否定するものではないとし、防衛局が鳴き声が確認された地点の近くに水中カメラを追加設置する計画も了承した。

 ジュゴンらしき鳴き声は嘉陽沖の「K4」と呼ばれる測定地点で4、5月も確認された。4月は7日間74回、5月は9日間70回確認された。そのうち工事を行っていた日は4月3、6日だけだった。

 一方、航空調査でジュゴンの姿は確認されず、海草藻場で食跡も見つからなかった。

 鳴き声らしき音が確認された日は東風が吹いている傾向があったが、ジュゴンが特定の風向きで行動を変えるという文献はないとして、委員会は周辺の機械音などが音源である可能性も含め、特定に向けた調査を進めることを了承した。

 この日の委員会では、埋め立てで河口がふさがれる美謝川の水路切り替えに伴う環境保全策についても事務局案が提示された。同工事の実施は名護市の許可が必要となるが、事務局は今後も詳細な設計などの作業があるとして、現段階で市と協議に入る具体的な予定はないと説明した。