サンゴ窒息死の危機…「テルピオスカイメン」7島で生息確認 本島では幅1キロにも


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
サンゴを覆うテルピオスカイメン(右側)(山城秀之教授提供)

 琉球大熱帯生物圏研究センターの山城秀之教授らの研究チームは、サンゴを覆って窒息死させる海綿生物の一種「テルピオスカイメン」の生息調査を実施し、これまで国内で生息が確認されていた沖縄本島や鹿児島県徳之島など10島に加え、新たに7島での生息を確認した。今帰仁村や大宜味村では1キロ以上の距離にわたりサンゴ礁がテルピオスカイメンに覆われているのも見つかり、生息範囲が拡大している可能性があるとしている。

 テルピオスカイメンは1日に1~2ミリ成長し、生息範囲を広げる。水温が高い夏場に成長速度が上がる。山城教授は、地球温暖化の進行で生息範囲の拡大、それに伴うサンゴの死滅が懸念される、としている。

 テルピオスカイメンは厚さ約1ミリ程度。サンゴの表面に張り付くが、石灰質の骨格まで入り込むため、手ではがすのは不可能。サンゴは覆われた部分から死んでいく。1980年代にグアムで見つかったのを皮切りに鹿児島や沖縄で見つかっていた。台湾やインド、オーストラリアなどでも確認されている。

 山城教授はテルピオスカイメンの生息状況を把握するため、2年前から調査を実施。古宇利島、水納島、粟国島、下地島、栗間島、与那国島、鹿児島県喜界島の7離島で新たに生息を確認した。山城教授は「何かのスイッチで一気に増えたり減ったりしている様子もある。台風があると弱るようだが、実態はまだ未解明だ」と説明。「サンゴが死ねば、そこに生息するさまざまな生き物にも影響を及ぼす」と話し、生態を解明したい考えだ。