<識者談話>泡消火剤流出調査の調整、信用性に疑問生む 河村雅美氏


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河村 雅美氏

 本来、調査の目的は事実を把握し対策につなげることであり、その過程は透明性が確保されていなければならない。国と県、米軍が個々で調査を実施したことは意味があることであり、その調査結果をそれぞれが公表することで第三者も評価できる形となる。今回の場合、行政機関間での「調整」とは一体何をするのか疑問が生じる。サンプル採取さえ県に直接させないような米軍や、県に先立って立ち入りをした日本政府と「調整」の結果、公開される調査結果は信用できるものになるだろうか。

 環境補足協定の締結に当たって交わされた日米合同委員会合意で、調査時に用いる基準や結果の共有は「合同委員会の枠組みを通じて両国政府の関係当局が取り扱う」という記載がある。この規定下で日米両政府がどのように動くのかも警戒する必要がある。県には今回の流出事故と立ち入り調査で、環境補足協定の欠点を具体的に指摘し、制度を変える役割が求められる。そのことを認識し、主体的な動きを取るべきであろう。