ジムカーナ連覇の高江、サーキットに挑む 「可能性信じる」バーチャルで走り込み


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サーキットに初挑戦する高江淳(中央)と支援する小峰猛彦氏(左)、林寛樹氏=7月18日、岡山県の岡山国際サーキット

 ジムカーナのJAF全日本選手権SA2クラスを2連覇した高江淳が、サーキットのレースに挑む。規模も大きくレベルも高い「TOYOTA GAZOO Racing」の「86/BRZレース」のエキスパートクラスだ。まずは8月30日に大分県で開催されるレースにスポット参戦する予定だ。不安もあるが「自分の可能性を信じたい」と言葉に力を込める。

 ジムカーナは広場などにパイロンを置くなどして任意に設定したコースを走るが、専用にコース設計されたサーキットでのレースは初の挑戦となる。新たな世界にはチームで飛び込む。「運転技術は高いがサーキット未経験者のドライバーがどこまで戦えるか」という考えからだ。レーシングシミュレーターを開発し、eスポーツにも力を入れる「ZENKAI RACING.COM」(林寛樹社長)の機器を活用し、バーチャルで走りこんできた。幅広いモータースポーツ活動を続ける「アイメディア」(小峰猛彦社長)から車両提供を受け、7月中旬に岡山県の国際サーキットでクリアタイムを計るとシミュレーターとの誤差は0・1秒。ジムカーナの世界で壁を越えてきた「いけるかも」という感触をつかんだという。

 とはいえ、86/BRZレースのエキスパートクラスはレベルが高い。車両の改造もほぼ足回りのみのため、ドライバーの技術が問われる。ジムカーナは単走で競技時間も2分弱だが、レースは駆け引きが数十分続く。既にジムカーナ全日本選手権のトップ選手が参戦しているが、まだ表彰台には上がっていない。

 「初挑戦でエキスパートはちょっとレベルが高すぎたかな」と苦笑いするが「戦える体力と対応力をつけ、表彰台を狙う」と真剣に語る。離島県という地理的条件の中、孤軍奮闘しながらジムカーナの頂点にたどり着いた。3連覇を狙うキャリアとその思いに賛同したダンロップからレースで使用するタイヤの提供を受けている。

 ここからさらにキャリアを築くことができれば「沖縄からでもシミュレーターを駆使して勝負できることを証明できる」。新たな可能性を開くことは「自分のノウハウを生かして次の世代を育てたい」と語り続けてきたことにもつながる。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、練習環境が減り、レース当日がぶっつけ本番となりかねないが、「来年へつなげたいので結果を残します」と限られた環境でも準備を怠らない。レースやジムカーナとは別に、eスポーツのアンバサダー役も務めており、いずれはバーチャルレースの世界にも参戦する予定だ。
 (嘉陽拓也)